みどり幼児園は、1947(昭和22)年4月、当時八王子市東浅川町にあった興福寺の境内に、農繁期の託児所として開設されたのが前身です。その後、地域の人々の要望で常設の保育施設になった地域で最も古い保育施設です。1949(昭和24)年に原町会の会館を借用、1969(昭和44)年に都立陵南公園北側の浅川河川敷に移り、2007(平成19)年に裏高尾の現在地に移転しました。

東浅川時代は目の前の川に鴨やサギが舞い降りる自然環境に恵まれた2000平方メートルの敷地でした。しかし、その土地が河川区域に属するために、私立幼稚園としての認可の対象からは外れており、公的な資金援助は望めず、運営は保護者から成る「父母会」が行い、運営資金は保育料とバザー収益等でまかなってきました。

思い出
あそぼうくらぶ

1975(昭和50)年に東京都及び八王子市から、保護者に対し補助金が支給されるようになりました。1989(平成元)年より、地域の子育て支援活動の一環として、就園前の子どもと保護者に園庭を無料開放する「あそぼうくらぶ」も毎週一回開かれ、常に20組から40組の親子が訪れるようになりました。2005(平成17)年度には園に「私立幼稚園等特別支援教育事業補助金」が八王子市から支給されるはこびとなりました。

しかし2006(平成18)年4月に東京都から、「河川地域の正常化」という理由で立ち退きの勧告があり、たまたまこの年に閉校が決まった上長房分校(浅川小学校の分校)が移転先として決定しました。移転にあたっては、八王子市はじめ、在園の保護者、卒園児保護者、職員の並々ならぬ熱い思いと働きにより、資金集めから内装工事、土木工事まですべてを協力して成し遂げ、2007(平成19)年4月19日に新天地裏高尾で初の入園式をむかえるに至りました。同時期に、卒園保護者有志と職員や元職員らで、『特定非営利活動法人 発達支援の会-未来』を発足させ、障がいを正しく理解し、子どもの発達を適切にサポートする団体として、園への協力や支援、広く一般に向けた講演会や子育てサロン、親子レクリエーションなどの活動を始めました。

上長房分校
こどもを見守る仲間

現在でも、園に対する継続的な公的補助がないため、保育料やバザーで運営をまかなう状況は厳しいものがありますが、幼児期に本当に必要な環境を常に考え実践できるのは営利を目的としない、このようなみどり幼児園独特の運営形態によるところが大きいと思われます。75年以上の歴史の中で受け継がれてきた独特の運営形態は、保護者と職員が共に『こどもを見守る仲間』として、幼児期に本当に必要な環境を、常に考え、実践することを可能にしていました。東浅川時代と同様に戸外遊び中心の保育、野菜や花を子どもたちの手で育て、子どもどうしのかかわり、特に遊びを大切にし、よけいな手出し口出しをしない保育を貫いています。

2020(令和2)年より、保育料無償化に伴い、保護者に対し「保護者負担軽減補助金」が支給されています。2021(令和3)年7月、みどり幼児園は『特定非営利活動法人 発達支援の会-未来』の運営事業となりました。『未来』を母体とし、これまでと同様に障がいのあるなしにかかわらず、どの子も集団の中で実りある幼児期を送ることができるインクルーシブな園を志しています。

インクルーシブな園